一生の大部分を海洋で生活し、河川や湖沼で繁殖する魚類の生態型。一生淡水で生活する陸封型の対語として用いる。いわゆる遡河魚(そかぎょ)で、ヤツメウナギ類、チョウザメ類、サケ・マス類などにこの型がある。サケ・マス類では降海型と陸封型は別の名前でよばれている。降海型のベニザケは陸封型ではヒメマス、同様にサクラマスはヤマメ、サツキマスはアマゴ、アメマスはエゾイワナ、スチールヘッドはニジマスなどである。降海型は陸封型より広くて安定した環境にすみ、餌(えさ)も相対的に恵まれている。そのため、成長がよくて大形になり、寿命も長く、産卵数が多くて繁殖能力も大きい。たとえば、陸封型のヒメマスは最大の全長が40センチメートルにすぎないが、降海型のベニザケはその倍の大きさに成長する。
淡水で成育した稚魚が降海するに先だって、浸透圧の調節など海での生活に耐える体制が整えられる。水温が上がったり、日照時間が長くなったりすることなどが降海への要因になる。サケ科魚類は海水適応能力を獲得すると体色が銀白色に変化し、その個体またはその状態は銀毛(ぎんけ)とよばれる。降海の習性は同種でも性によって異なることがあり、サクラマスでは雌に降海型が多く、陸封型の多くは雄である。また、降海型のサクラマスを両親とした稚魚がすべて降海型となるわけではない。一方、陸封型の雌雄からも降海型と陸封型ができる。
[落合 明・尼岡邦夫 2015年1月20日]
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